異なる容積の水瓶を使って,特定の水の量を測定する論理問題.
1942年,米国の心理学者ルーチンが問題解決における心的構えの効果を調べるために用い,認知心理学に取り入れた.
間接的に解かなければならない複雑な水瓶問題の典型例としては,以下のようなものがある.
21クォート(1クォートは約0.95リットル),127クォート,3クォート入りの空の水瓶を用い,100クォートの水を得よ.
この問題は,127クォートの水瓶を水で満たし,
そこから21クォートの水瓶で1杯,
3クォートの水瓶で2杯汲み出せば,
127クォートの水瓶に必要な100クォートが残る,
という方法で解くことができる.
一方,次のような単純な水瓶問題は直接解くことができる.
15クォート,39クォート,3クォート入りの空の水瓶を用い,18クォートの水を得よ.この問題は,直接15クォートと3クォートの水瓶を水で満たし,それを39クォートの水瓶に移し入れればよい.
ルーチンスは大学生を対象とした実験で,その81%が,複雑な問題をいくつか解いた後では,
直接解ける単純な問題にもそれまでと同じ間接的な方法を用いること,
直接的な方法をとったのはわずか17%であることを見出した.
複雑な問題を提示されなかった場合は,100%の学生が単純な問題を直接解くことができた.
前者では,間接的な方法を用いて成功したことで,心的構えが形成され,直接的方法に気づきにくくなってしまったと考えられる.